- 売買
#003
まちなかで豊かに暮らす里見町のマンション
2,360万円(税込)
※金額改定しました
個性的なショップが軒を連ねるタテマチストリートや、多くの観光客で賑わう金沢21世紀美術館の程近く。「メゾン・デュ・ボンヌール里見町」は、まさに金沢の中心市街地というロケーションに建つ、昭和63年築の10階建てマンションだ。ワンフロアにわずか3室のみ、2方向から光と風が通る、ゆとりあるつくりがマンションとしては珍しい。その3階の一室を当社が買い取り、自社でリノベーション工事を手がけ、“ハーフ・ビスポウク”という手法で再販を行った。
ビスポウク(bespoke)とは、つくり手が購入者の注文を念入りに聞き、話し合ってつくられる完全注文のこと。半分をつくり手が仕上げ、半分を購入者の注文に沿ってつくり上げるリノベーション手法をハーフ・ビスポウク(half bespoke)と名付けた。
たとえば、洋服には既製品とオーダーメイドに分かれるが、必ずしもオーダーメイドがいいわけじゃない。日常で着る服をしつらえる人は少ないだろうし、シャツやスーツはオーダーすることもあれば、このブランドが好き、このシルエットが好きだからと既製品を選ぶ場合もある。
住宅もまた同じで、つくり手には建築家もハウスメーカーも工務店もあって選択できる。それなのに、買い方はフルオーダーか、完成品を購入するかの2択がほとんど。フルスペックの高級注文住宅と、自分の思い通りにならないローコスト建売住宅というあまりにも偏り過ぎた世界となっている。だから買い手は「ここまで自分たちで考えるのは大変だ」「もっとこうだったらいいのに」という苦労や不満を感じることも少なくない。ならば、私たちがその中間にある多様性みたいなものをつくれるのではないか、と考えた。
大量生産型の建売住宅はローコストながら、どこか画一的なつくりになりがちだ。私たちは中古物件が持っている背景や魅力を活かし、“らしさ”を残した建売住宅をつくってみたいと物件の買い取り・再販事業をスタートさせた。第1弾となったのが本多町にある2階建ての木造住宅の改修。入居者のライフプランや価値観に応じて賃貸か購入かの“所有の仕方”を選べるようにした。
一方、設計事務所がつくる完全オーダーの家は、施主の要望が細かに叶いやすい反面、完成までに時間がかかる。施主にとって初めての家づくりにおいて考えや要望が二転三転するものだし、設計士による提案や助言があっても、納得するまでじっくり考えてもらうことも重要。そうでないと一生ものの家づくりに不満が残ってしまうからだ。そこで考えたのが第2弾のハーフ・ビスポウクのマンション。完成までの過程を極力減らすことで、その分省けるコストや時間を建築の方に還元しつつも、どこかに買い手のオーダーややりたいことを取り入れられる、セミオーダーの住まいである。
「メゾン・デュ・ボンヌール里見町」では、まずは大きなワンルームの状態にリノベーションを行い、もっとも費用の負担が大きい水回りのキッチンとトイレ、洗面、バスルームだけを仕上げて、残りは下地工事まで済ませた状態で見学してもらうスタイルをとった。床にはベッドやソファなどの家具のレイアウトをイメージしやすいようにテープを貼って示した。もちろん、基本プランをそのまま購入できるし、オーダーに応じて、あるいはライフスタイルの変化に合わせて施工も可能。設計事務所が物件を自ら所有して、自分たちでデザインして工事もする、私たちならではの方法で、“家のつくり方”に新しい選択肢を与えた。
しかしながら、結果としては思うような反応は得られず、住宅の無限の可能性にワクワクしてもらいたい、という私たちの思いは残念ながら届けることができなかった。これから家づくりを考える人にとっては、余地を多めに残して仕上げた状態ではスケール感がわかりにくくて、実はいちばん完成形を想像しにくい状態だったのだ。
ハーフ・ビスポウクの取り組みはもちろん諦めたわけではないが、まだまだ模索中。今回は残り半分も設計と工事を完成させて買い手を探すことにした。
***
用途や居場所を思い描ける住空間をデザイン
当社がフルリノベーション工事を手がけた部屋は、元々の2LDKから1LDKに改修。以前は日中でも暗かった玄関は窓からの光を取り込んで明るくゆったりと、壁で仕切った4畳半のスペースはあえて天井を低めにして落ち着いた雰囲気にした。ここにはベッドを置いてもいいし、書斎や作業スペースにしてもいい。レトロな出窓のあるリビングはカーペット敷きにし、アンティーク家具を合わせてもハイブランドチェアを置いてもマッチするデザインに仕上げた。場所ごとに天井や床の高さを変化させたり、異なる素材を使い分けたりすることで、ゆるやかにゾーン分けされ、いろんな用途と居場所が生まれる空間に。ただ面積の広さだけで捉えない居心地の良さを大切にした。
まちなかの高級分譲マンションも、郊外の一軒家も、マイホームを求める人たちの「豊かな暮らしをしたい」という願いは共通している。だが、その望むものを手に入れるためには、住宅ローンや生命保険といった大きなリスクを差し出さなければならないのが今の住宅業界の仕組み。たとえば、家族ができたからと高額ローンを組んで車3台分の駐車場とこども部屋のある家を建てて、ようやくローンを払い終わった頃には、こどもが独立してその大きな家を持て余してしまう。同じことをまた次の世代も続けていっていいのだろうか。そういったことに「何か違う」という違和感を持つ人にとって、家の買い方つくり方だけでなく、所有や管理の仕方まで、もっと選択肢の幅があれば、建売住宅も注文住宅もより豊かなものになるにちがいない。
だから、まちなかのリノベマンション「メゾン・デュ・ボンヌール里見町」が、家を買うことで目指す“暮らしのほんとうの豊かさ”とは何かを考えるきっかけになれば嬉しい。そしてSWAY DESIGNはそれをいっしょに考える会社でありたいと思う。
※掲載の情報が現状と異なる場合には、現状を優先するものとします。
営業時間 / 9:00~18:00(月〜金)
取扱い業者 / 株式会社SWAY DESIGN
住所 / 〒921–8034 金沢市泉野町6丁目1–1
免許番号 / 石川県知事(1)第4275号
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